012908

大学教員に恋する女子大生

012908
私の職場(某理系大学)で実際に起きた話です。

新たに助教として採用された若手独身のAさんは、ルックスはまあまあですが、社会人の野球チームでショートを守るスポーツマンで、すっきりさわやかな物腰と丁寧な指導から、さっそく学生の人気を集めました。

学生は男女比が3:1ほどなので、普通の男性教員は、たとえ独身でも恋愛対象としてお呼びでないのですが、たまたまプレゼミ体験で講座に来た女子学生がAさんをすっかり気に入ってしまい、それから講座に入り浸るようになりました。私たち周囲には特に迷惑になるわけでもなく、むしろ友人の女子学生を連れてくるなどして職場が華やいだ感じになったので、何となく教授も含めて、なかば公認となりました。

彼女は「教員と学生が付き合っても問題ないでしょうか」と周囲に聞くほど真面目でしたが、あまり恋愛経験がなく舞いあがっているなという印象は消せない感じでした。対してAさんは、まんざらでもないようでしたが、付き合いを公言するわけでもなく、わざとあいまいなままにして置いているようでした。ただ、ふとした時に彼女の下の名前を呼んでいたところを見ると、親しい関係は進んでいるようでした。

Aさんの着任から半年たち秋が深くなる頃には、実家から通学している彼女は、Aさんをしきりに家に招くようになりました。それまでAさんは彼女の実家に行くのは何となく避けているようでしたが、次第に逃げられなくなってきているようでした。

今になって思うと、Aさんは少し年の離れた女の子と楽しく過ごすのが新鮮だったものの、結婚するとかは考えておらず、だんだんと面倒くさくなってきたようです。しかし元来誠実な彼は、彼女にひどい仕打ちをすることはできず、悩んでいたようでした。また、教員である自分が教え子である彼女を振ったといううわさが広まると、将来的に都合が悪いのではないかという恐れも感じていたことを、ふとした会話の中でこぼしていました。

彼女の両親が、彼女の強い思い込みに対してどう思っていたかは、第三者の私たちにはわからないことです。しかし、なにか彼女の実家で決定的な出来事があったのでしょうか、クリスマスの近づく頃から、彼女は講座にあまり顔を出さなくなりました。

クリスマスイブの夕方、私の講座の教員はまだ仕事をしていたのですが、Aさんは携帯に連絡を受けた後、そそくさと退社してゆきました。私たちは彼女からの電話だと噂しました。何があったのか、Aさんの口から語られることはなく、私たちもそれについて聞くことはできませんでした。

年が明け、私たちは講座で彼女の話をしなくなりました。Aさんはごく普通に勤務していましたが、2月の半ば、昔の恩師の紹介で、新しい勤務地に異動することになりました。その経緯には、講座の教授の計らいがあったようですが、確かなことは分かりません。彼女はもう全く講座には来ず、Aさんの異動を知っていたのかどうかは分かりません。

あれから2年がたち、Aさんは新しい職場で紹介された女性と結婚したそうです。今も私たちとは親しくメールを交換しているのですが、毎日張りのある生活をしているそうです。

彼女はまだ在学中で、時折キャンパスで出会うと、親しく挨拶してくれます。以前に比べると、幼さが抜け、すっかり大人の女性の雰囲気を漂わせています。Aさんのことを話すことはありませんが、私たちの講座のメンバーに会って話をするときの横顔に時々、少しさびしいような、何かを思い出すような色が射すのは、私の気のせいではないと思います。

そういったとき、恥ずかしさを隠さずにAさんに向かっていた以前の彼女を、なんだか懐かしくほほえましい気持ちで思い出します。

私の話はこれで終わりです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>